呼吸
最近は呼吸のことを考えている。
吸ってはく。息をすることは生きること。
意識していないのに生まれてから欠かしたことがない。
なのにひとたび息がしづらいと思いはじめると、とたんに苦しくなってしまう。
それまでどんなふうに息をしていたのか、思い出せなくなる。
生きているものはみんな空気を共有している。
誰かの吸った息は誰かの吐いた息。
それは人かもしれないし、動物かもしれないし、植物かもしれない。
空気は世界でつながっているから、
いま吸ったこの空気は、異国の鳥のため息だったかも。
こうして今は旅に出れないぶんだけ、遠い地に思いを馳せる。